以前、下谷二助さんが僕の絵を評してこう書いて下さいました。
「あいかわらず、なんとも無責任な絵だ。こんな脱力感は多くは必要としないが、表現者に不可欠なメンタリティーのひとつだろう。当然前途多難が予想されるが無責任に前進してほしい。いや、前進という言葉はこの絵に不似合いだ、気がついたら前進していたというぐらいがいい。遠くから無責任に見守っています。」
短い文章ですが、僕の姿勢、状況を的確に表してあり、非常にありがたい言葉です。

（以上、本文冒頭より抜粋）

セーラー服ものの漫画が2本、ちょんまげもの、人間の情景、男と女、金太郎全敗物語…5種類のイラストから成り立つ内容の濃い一冊。「こっけい美」を主題とし、とぼけた味わいだが複雑な感情や衝動を受ける作品である。特にセーラー服ものの漫画は、「人間」や「人生」というものを深く考えさせられる。

伊野孝行（いのたかゆき）
1971年三重県津市生まれ。東洋大学卒業。セツ・モードセミナー卒業。第１６回ザ・チョイス年度賞特別賞。ＨＢファイルコンペVol.１５藤枝リュウジ特別賞。第３回ＴＩＳ公募プロ部門銅賞。
第５回ＴＩＳ公募銅賞。　◎個展 03年「人の間」。07年「こっけい以外に人間の美しさはない」。◎二人展 05年「のぞきの黙示録」松元まり子さんと。05年「哀愁のふたり展」中村義明さんと。　TIS会員。著書は他に「ゴッホ」（書肆 絵と本）