あなたにとっての20世紀とは？と問われれば、ぼくが生まれ育った恐ろしい世紀と答える。人類は発生してから一日も休まず戦争による殺人をくりかえしてきた。だが20世紀にいたり戦争殺人は飛躍的に効率良くなり、この世に生をうけた人間は戦争で殺されるのがあたりまえという宿命を負ったのである。
幸運にも生き残ったぼくは戦争で殺されてたまるかと、しぶとく注意深く21世紀も生き長らえる決心である。

（以上、本文あとがきより抜粋）

「戦争」という難しいテーマに対して、イラストレーションと詩、文章で端的にとらえている。ズシンと心に重たく響く言葉をやわらげるかのように、イラストレーションが存在している。世界平和の願いが込められた一冊。

山下勇三（やましたゆうぞう）
1936年広島市生まれ。多摩美術大学図案科卒業。株式会社山下デザインスタジオ代表。朝日広告賞、毎日広告賞、講談社出版文化賞さし絵賞、他受賞。著書「バイクは動くか？」（三一書房）、「オジサンも考える」（話の特集）他。