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穴氏の特集 矢吹申彦

始まりは、HBギャラリーのオーナー、唐仁原教久さんのかけた一ト言だった。
「矢吹さんのペン画のさし絵も、ずいぶんあるでしょう」(中略) 
「DUGの広告だけでも、百点以上あるんじゃないかな…」(中略)
「じゃあ、DUGの広告でやりましょう」
さあ、それからが大変だった。(中略)特に初期のそれも七九年刊の作品集に収録した頃のものが見つからない。で、それらは作品集からのコピーで並べた。(中略)
年に六点で二十三年間、百三十点近くある筈が、揃ったのはコピーも入れて百点少し。この内の五十点をVISUAL BOOKに。(後略)

(以上、本文より抜粋)

雑誌「話の特集」から始まったジャズカフェ&バー「DUG」広告50点と文章がおさめられている。「DUG」広告のイラストレーション、デザイン、コピーはすべて矢吹氏によるもの。ジャズ好きにはたまらない一冊であるが、そうでなくても当時のジャズ喫茶や、広告づくりの話がわかりやすく綴られていて、興味深い。

矢吹申彦(やぶきのぶひこ)
1944年東京生まれ。67年桑沢デザイン研究所抹籍後、フリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活動、今日に至る。79年『矢吹申彦風景図鑑』を刊行。99年クリエイション・ギャラリーG8とガーディアン・ガーデンのタイムトンネル・シリーズ『矢吹申彦東西南北』展を開催。05年10月、19回目の個展『猫づくし』を開催。著書に絵本『ぼくの絵日記』、『東京面白倶楽部』、『文人志願』、『愉快な情景』、『颱風の眼の中にいる海坊主』、『猫づくし』などがある。